宝石の降る夜に - 月あかり研究会

[00:00.000] 作词 : 小緑はる
[00:00.833] 作曲 : ああああ
[00:01.667]夜が好きだ。
[00:03.197]僕を遠ざけて乱反射する都市の灯りさえも、ちょっとだけ好きになれるから。
[00:09.973]室外機の音が静かに響くベランダで欄干に身を預け瞼を閉じると、
[00:15.385]視界は仄かに明るかった。
[00:18.462]そんな夜のこと。
[00:19.743]
[00:21.269]三日月、徹夜明け、シューティングゲームのテーブル筐体とクリームソーダ
[00:27.313]きらーん。50円玉を投入。
[00:31.458]あ、電気通るんだ。
[00:35.639]蠱惑的なバックライト…
[00:42.620]………飽きた。
[00:42.831]
[00:43.098]昼も夜もなくなっちゃった真っ暗な世界の端っこで
[00:47.286]緑の生い茂る広い広い広い団地マンションを歩く
[00:51.278]7号棟の水色ポスト
[00:53.406]53号棟、黒猫さん
[00:55.263]982号棟には天使の輪っかが落ちてるらしい。
[00:59.505]単焦点 35mm、少しだけ絞ってラフに構える。
[01:03.495]ピシュゥン。
[01:04.507]あっ。レーザービームの音がした。
[01:07.423]天気予報士の言う通り、ここ数週間は鳴り止まない。
[01:11.406]遠くに散らばる破片の正体 見えないフリをした。
[01:15.130]
[01:30.476]ごめんね、大丈夫さ
[01:38.986]根拠はないけどね
[01:46.417]ごめんね、大丈夫さ
[01:55.181]生きてるって、なんだろうね
[02:02.623]
[02:04.210]君に貰ったスニーカーはなんか履いてるだけで妙に楽しい
[02:08.463]とんとん、たたんと軽快に ひび割れてるコンクリートも気にしない
[02:12.925]今夜、何してるかなあ。絶対ないけど読書とか笑。
[02:16.864]今度、また会えるかな。あの頃みたいに元気かな。
[02:20.306]
[02:20.573]連絡通路から見える光 縦に連なって地面に刺さる
[02:24.825]役目を終えた列車の窓に ざくざく切り取られていた風景
[02:28.815]雑踏、送電線、信号機、ねこ、ねこ、カラフルな女の子、
[02:33.057]映画館、鉄橋、東横線、コンビニで買ったあずきバー、
[02:36.780]漂着鯨と夏蜜柑、雑居ビル、ねこ、雑居ビルのねこ
[02:41.228]ザッピングに嫌気が差して、シュレッダーにかけた。
[02:44.673]
[02:45.135]シェルターに響く轟音は さながら子守唄のようで
[02:49.123]工業地帯のイルミネーションがパキパキと割れる 消えていく
[02:53.302]
[02:56.640]ふと寂しくなった。
[02:57.970]
[03:13.308]わっ、雷。……雨？
[03:19.318]雨も好きだ。
[03:20.912]少し寒くて頭が痛くなるのはつらいけど、水に包まれていると安心するから。
[03:26.835]動かないエレベーターの中で、屋根を叩く音に耳を澄ます。
[03:30.814]
[03:40.906]いつだって体が憶えてる
[03:43.035]いつだって心が憶えてる
[03:45.163]聞き飽きたポップミュージック
[03:47.022]擦り切れたポップミュージック
[03:49.150]レーザービームは鳴り止まない。
[03:50.941]けど音楽だって鳴り止まない。
[03:53.055]誰かが密かに生きてた証がいつもいつまでも鳴り止まない。
[03:56.775]
[03:57.524]割れる 色収差 きらきら ズレていく
[04:01.666]空 天蓋 世界の被膜
[04:05.376]手を伸ばした 触れた 優しく撫でた
[04:09.366]
[04:10.000]綺跡が降る
[04:11.330]
[04:17.916]その瞬間
[04:18.713]
[04:19.509]川沿いの夕焼けを思い出す
[04:21.904]あの子の手の冷たさを思い出す
[04:23.765]魔法が解ける5秒前に、頬を伝った言葉を思い出す
[04:27.743]きらり、シルエットを思い出す
[04:29.870]桜並木の呪文を思い出す
[04:31.940]虹と彗星がこだまして、またこんな景色を思い出す
[04:35.654]
[04:35.918]雑踏、送電線、信号機、ねこ、ねこ、カラフルな女の子、
[04:39.907]映画館、鉄橋、東横線、コンビニで買ったあずきバー、
[04:43.881]漂着鯨と夏蜜柑、雑居ビル、ねこ、雑居ビルのねこ、
[04:48.342]サイダー、王冠、高架下、教会通り、冒険の書、
[04:51.958]怖い夢、長い夢、ねこの夢、甘い夢、白い夢。
[04:56.201]なみだ、なみだ、なみだ、なみだ、なみだ。
[04:58.333]ひかり、ひかり、ひかり、ひかり、ひかり。
[05:00.190]
[05:00.454]いつか会えたらきっと話そう
[05:02.317]いつか会えたらずっと喋ろう
[05:04.445]いつか、いつか、いつか。
[05:06.560]
[05:07.092]ごめんね、大丈夫さ
[05:15.604]悪魔だらけでも
[05:23.035]ごめんね、君が悲しむから
[05:32.326]まだ生きてみるよ。
[05:39.495]
[05:42.104]夜が好きだ。
[05:43.633]僕を遠ざけて乱反射する都市の灯りさえも、ちょっとだけ好きになれるから。
[05:49.147]前髪をそっと揺らす風が心地良いベランダから部屋に戻ると、
[05:53.657]ポットの湯気とお線香の煙が綯い交ぜになって薫る。
[05:58.392]紅茶を冷ましながらパソコンの電源を入れたとき、
[06:02.046]懐かしくて、暖かくて、馴染み深い鳴き声が聞こえた気がした。
[06:07.824]そんな、どうしようもなく寄る辺のない夜のこと。
[06:13.133]
[06:28.277]らららら。
[06:32.000]
[06:37.839]よる　よる　よる　よる
[06:41.826]依る 因る 寄る 夜